ねずみの父は学者です。
ねずみの母は素人ながら
絵の好きな芸術家のような人です。

ねずみ、いつも油絵の匂いの中で育ちました。
ふと目を上げると、
油絵を描いている母と、
難しい本を読んでいる父。

・・・こう書くと、
なんだか素敵なオウチのような感じがするでしょう?
とーんでもない!
実際は、物に囲まれたオウチ。
つまり、ゴミ屋敷のようなオウチだったのです。
呼んだ本はそのまま、
書類や原稿用紙が散乱し、
掃除より絵が描くことが好きな母が
片付ける訳がない!

それでも、ねずみが実家にいる時は
そうでもなかったのです。
それが今や、本当に悲惨な有り様になっておりました。

新導入した空気清浄機の前を歩けば、
ランプが赤に代わり、ぼーっと清浄機能が働く。
押し入れまで、手が届かない(段ボール箱に阻まれる)
何年間もススキやら草やらが室内に飾られている。
(母のお気に入りらしい)
玄関には靴が3足くらいしか置けない。
洗面所の戸棚には
今はなき「シャワランシャンプー」がある。
何年分ものお歳暮などが、そのまま積まれている。
などなど・・。

そこは想像を絶する腐海のような世界なのであります。
冷蔵庫を掃除したところ、
30リットル袋7袋が廃棄されました。

世の中には、
こんな家がまだまだあるのかな・・。
どこから手をつけていいか分からず、
途方にくれるねずみなのでした・・・。