じじねずみ

半年間、家族を悩ませたじじねずみは
10月末からリハビリ施設に入りました。

本人は面会にいくたびに
「どこも悪くない」
「いつ退院だ?」
「1時間でも早く家に帰りたい」
「失禁なんてしていない」
「家が一番くつろぐことを解ってください」等々
「帰りたい」の懇願ばかりしています。

帰っても、また同じことの繰り返し。
失禁して、着替えも拒否して、
病院も外出も拒否して寝ているばかり。
「そんなことはしない」というけれど、
何を約束しても忘れてしまう。
じじねずみの言葉は
その時の気分によって
口から出るものばかり。

その時だけ、かわせればいいじじねずみ。
私さえ説得できれば、
後は何を言っても、
約束を全部反故にしても
「忘れた」で済ませるじじねずみ。
それが病気とわかっていても、
そこには温かい気持ちが持てません。

認知症。
その人らしく、と、いろんなところで話が出ますが、
一体「父らしく」とはどういうことなのでしょう?
もはや、もう一度教壇にたつことはできないし、
人と仲良くするのは、大の苦手。
じじねずみの欲求は
「ただ、家で、寝ていたい」
「失禁しても、そのままでいい」
「僕の世話はねずみがすればいい」

もう、何が正しくて、
何が一番ベストな道なのか、
解らなくなっているねずみなのでした。