コロナ禍の東京

コロナ禍の東京。
緊急事態宣言を出すに至らず、という判断で、
表面上、東京はいつもの日常のように進んでいます。

子ねずみ兄。
大変人気の甘味処でバイトをしています。
店が再開してから、土曜日はバイトを入れていますが、
たくさんの人が訪れる店に、
本人は、感染の不安を抱えながら過ごしています。

バイトを休めば、それは避けられますが、
しかし、既に3年目の彼は中堅で、彼が抜けると店が困る。
みんな感染の危険の中、頑張っているのに、
自分だけ休むわけにもいかない。
いろいろな気持ちが交錯する中、
妥協点として土曜日だけ働いてきました。

夏休みは、特にかき入れ時の甘味処。
8月は、土曜日だけという訳にはいかず、
とりあえず週に3日は出るようにシフトを入れたと、
私に話がありました。
その不安そうな顔に、それ以上何も言わないけれど、
手にとるように、彼の気持ちが伝わりました。

今の東京、みんなそうなんでしょう。
働かなくてはならない。
買い物に行かなくてはならない。
不安でも、自分だけ引き籠る訳にはいかない。
頑張って感染しないように努力するけれど、
どこで感染るかわからない。
そんな不安の中、みんな生きている。

子ねずみ妹も「不安なら学校を休んでもいい」と
学校からは言われていますが、
学校がある限り、満員電車に乗って出かけます。
自分だけ休むってことは、なかなか出来ない。
電車を一本やり過ごしたり、
今まで飲んでいたお茶も飲まずに我慢したり。
自分なりの対策を考えながら。
「医療機関の人に申し訳ない」と、
彼女は通学以外の外出は一切しなくなりました。

連れねずみが、怒っています。
「東京の人は、みんな頑張って外出自粛している。
なのに、これ以上、気をつけて下さいって、
都知事はどこまで人任せなんだ。」
その気持ちもわかるけど、
今、きっと、都知事も含めて、
みんながどうしていいのかわからない。
ほとんどの人は「大丈夫かな?」という不安と共に、
働かなくてはならなかったり、
通学しなくてはならなかったり。

だとしたら、せめて、
穏やかにご機嫌に暮らすしかない。
これ以上、どうしようもないくらい頑張っているのだから、
感染しても誰のせいでもない。
大きな声で笑うことは出来ないけれど、
でも、静かにほほ笑むことはできる。
何かとても自分が試されているように思う
コロナ禍の東京で暮らすねずみです。