最期の時

母が息を引き取る瞬間。
私は側にいませんでした。

病院から子ねずみ達を
空港に迎えに行く
一時間位の間に母は逝ってしまいました。

病室を出る前に
「母さん、こども達を迎えに行ってくるね。」
と耳元で声をかけると、
母は目を開けました。
ずっと私が山口にいて、
こども達の側にいないことを
最後の最後まで気にしていた母。
ぼんやりと私の言葉を聞き、
安心したのかも知れません。

子ねずみ達が来た時は、
まだ温かくて、柔らかくて、
酸素マスクも点滴も取れて、
まだ眠っているようでした。
ほんの何分か前に、
息を引き取ったとのことでした。

あっという間。
まだまだ一緒と思っていたのに、
本当にあっという間に、
逝ってしまいました。
亡くなる前の日まで、
寝たままでもご飯を自分で食べ、
「明日の12時に○○ちゃん(連れねずみ)が
来てくれるんやねぇ。」と
楽しみにしていた母。
オキシパルスメータが50を切っても、
まだ苦しくない、と言っていた母。
芯が強く、潔い母らしい最期でした。