栗虫事件 後編(虫が苦手な方は読まないでください)

栗虫と格闘した翌日。
残りの水につけていた栗を栗ご飯にするべく、
処理を始めました。

その時、母が、最期に食べた私の手料理が
栗ご飯だったことを思い出しました。
庭に実った栗が何個かあり、
「栗ご飯にして欲しい」と言われ、
明日入院するという日に、急遽、栗ご飯にしたのです。
美味しくできた栗ご飯でしたが、
母は「美味しくない」と言いました。
ガンで口が変わっていたのだと思います。
母はそのまま、退院することなく、亡くなりました。

その悲しい記憶と共に、
やはり次々と出てくる栗虫。
止めてしまいたいと思いながら、
母の言葉が次々と聞こえてきました。
「もったいない」
「せっかくいただいのに」
「これだって命だよ」
生前、母がよく口にしていた言葉です。
段々息が苦しくなって、
「また、虫だらけ!もう、いやだ」と
思わず言葉が出てしまいました。

と、子ねずみ妹が、
「ママ、頑張らないで。
無理しないで捨てていいよ。
そういうの、無理しちゃだめ。」
この一言に、救われました。

本当に申し訳ないのですが、
栗は全て廃棄することに。

虫は決して苦手ではありません。
でも、栗虫のように白くて小さな虫は全くダメ。
松の実が入っている錦松梅という佃煮も食べられません。

栗虫事件。、
私の中の何かが切れたように、
その日から、大好きな手芸がパタッと出来なくなりました。