卒業制作

子ねずみ妹は美術系の高校なので、
卒業には卒業制作があります。
子ねずみ妹は、卒業制作をそれはそれは楽しみにしています。
じっくりと作品を作れる六年間(中高)の集大成であり、
たくさんの憧れの先輩が素敵な作品を残していきました。
卒業制作展は、都美術館にて行われるというもの。

今年、コロナで登校がなくなり、
6月からやっと登校し、卒業制作の面接第1回は7月にありました。
子ねずみ妹は今までにない大きなものが作りたく
「先生、デザイン科は大きさに制限はないのですか?」と確認しました。
先生「ないですよ。」とおっしゃったと喜んで帰ってきました。
(絵画科は最大サイズが決まっています)

その後、さまざまな紆余曲折がありましたが、
平面制作をすると決まり、案を持ってさらに面談を重ね
「この案は大きいほうがいいね。」とデザイン科の先生方からも
お墨付きをいただいて150号のMというサイズに決定しました。
横は245㎝という大きなサイズです。
マンションに運び込むことができるかどうか、
正確な木枠も作成し、確認も済みました。

いよいよ。
制作への取材です。
一部素材に白樺を描くと決まったので、
長野日帰りで白樺の原生林を見にいきました。
翌日には、冬季閉鎖されるという国道沿いの白樺原生林は、
それはそれは凛としたたたずまいで、
その空気感に、いよいよ卒業制作への気持ちが高まる子ねずみ妹。
とても楽しい旅となりました。

で!!その翌日です。
絵画コースの大御所先生からサイズにNGが出たと、
デザイン科の先生から話があったとのこと。
デザイン科の先生方と絵画の先生方で論争になったそうですが、
(ちょっと険悪に)結果ダメだったと聞かされ、
子ねずみ妹、余りのショックに昼食も食べられず、
帰宅も一人で帰りたくて友達に先に帰って貰い、
暗い公園で、一人心を落ち着けて帰ってきたそう。
なんともなんとも、胸の痛い話でした。

しかしながら、そのようなことで諦める子ねずみ妹ではありません。
なにせ、5年間も楽しみにして、
半年も構想を練った作品です。
構図を縦に変更するわけにもいかず、
小さくするには、余りにもイメージとかけ離れてしまう。
案、写真、資料を揃え、絵画の大御所先生に
面談の予約をとりつけました。

しかしながら、絵画の大御所先生の許可は貰えず。
先生は一時間余り話を聞いてくれたものの、
「その構図をこう変えたらどう?」などと
サイズの話はハナからダメな感じだったと子ねずみ妹は
しょぼんと帰って参りました。
展示の関係でダメなら都美術館の展示もしなくていいです、と言ったそうですが、
絵画の先生は「そんな!!そんなこと、言わないで!!」
と驚いて目をまんまるくされたんだそうな。

翌日、デザイン科の先生に、
絵画の大御所先生との面談について報告に行ったところ
「大変な子が来たわ」(笑)と絵画の先生がおっしゃっていたそうな。
褒めてくれたのか、驚いたのか。
まぁ、世の中思い通りにならないこともたくさんあります。

子ねずみ妹、しばらく落ち込んでいましたが、
「あの作品は今じゃなかった、って事。」と落としどころを
見つけたようで、前を向いて進み始めました。
「うちで描くからいいよ。」とも。
思いが通らなかったのは可哀想だけれど・・
・・それは止めて欲しいと思うねずみなのでした。