京都の狸

ツイッターにも呟いたのですが・・。

母の実家は昔からの長屋の一つです。
長屋というのは、壁が共有なので、
隣の物音が筒抜けだそうで、
母から、よく「何を喋ったか、お隣さんがみんな知ってるのよ~」
と聞かされていました。

間取りは本当に小さくて、
1階は土間と三畳、六畳
2階は六畳が二間。

2階の一室には、友禅にロウを置く仕事をしていた
祖父母の仕事道具の着物が張り巡らしてありました。
幼い私は、急な階段を這って上っては、
溶かしたロウを絞り出す祖母の手元を見ていたものです。

時々はひとりで裏の神社に遊びに行ってました。
鐘は自由に鳴らすことが出来たので、
ゴンゴンと鳴らして遊んだものです。

いろいろな思い出が詰まった祖父母の小さな長屋ですが、
義祖父が亡くなり、
祖母が母の元に身を寄せて、
15年余り、誰も住んでいない状態でした。

祖母が亡くなり、実家は母が相続し、
その母も亡くなり、兄が相続したのですが、
兄も生来のめんどくさがりから、
「雨漏りしてるんだけどね~。まぁ、そのうちね~。」
なんて放置している間にコロナが流行り、
益々行けなくなって、
私が「長屋が崩れるとお隣さんにも損害が出て迷惑だよ。」と
口うるさく言ったので、
ついに先日、京都に寄ってみたんだそうです。

そうしたら、
お隣さんの壁は崩れ、
雨漏りは酷くなり、
そして狸が死んでいたとのこと。
崩れた壁の向こうのお隣さんもずっと空き家なので、
そちらは大丈夫なのですが、
さすがに兄もなんとかしなくては・・と思ったみたいです。

残された古い空き家も、なかなかに大変。
東京にも古い小さな空き家が点在しますが、
案外と狸なんかが住んでいるのかな・・と思うねずみなのでした。