異動

連れねずみ君の話です。

ねずみとは中高の同級生だった連れねずみ君、
友達ではありましたが、付き合っていた訳ではなく、
ねずみは広島で就職、連れねずみ君は関東の大学に進学し、
毎日のように会っていた生活は終わりを告げました。

連れねずみ君、大学では心身障害学を専攻しました。
サークルでも心身障碍児との交流サークルに所属し、
後で聞けば、ねずみが高校の時に立ち上げた
ボランティア同好会の活動を見ていた事も影響していたそうです。

卒業後、そのような道に進むのかと思いきや、
大学在学中に興味を持ったコンピュータプログラムが面白く、
専攻とは別にプログラムを勉強し、
卒業後はプログラマーとしての仕事を選びました。
第一線でSEとして働き、やがて管理職にもなりました。
その頃、ねずみと子ねずみ達と再婚をしました。

やがて、45歳の時に、
平日子ども達といる時間が短かすぎる、ということと、
大学でやっていた事を仕事としてやってみたいという志が芽生え、
一念発起で転職をして、
以来、今、勤務する特例子会社の障碍者の定着支援員として
日々、意義深く従事すること10年余り。
あと3年で定年退職というところまでやってきました。

それが!!
突然の異動命令。
聞けば、たまたま社内のシステムの何かが使いにくい、ということで、
困っていた課を手伝い、
プログラムを組んでシステム改変をしたことが社長の耳に伝わり、
たまたま辞めたその課の人の後任に異動となったとのこと。
これには、連れねずみ君も、びっくりで、
「いやいや、今までやってきたことはどうなる訳?」と
がっかりするやら、怒り心頭やら。
異動先は連れねずみ君が異動でやってくると聞き、
大喜びだそうですが、
当の本人はすっかりしょげて、落ち込んでおります。

「僕ね~プログラムは嫌いじゃないし人の役にも立つとは思うけど、
プログラマーやるなら、前の仕事辞めてなかったんだよね。
プログラムを組める次の人を定年までに育てて欲しいってことらしいけど、
そんなに簡単に、ブログラムを組むってことを
一から教えて誰でも出来るようになるものでもない。
たまたま僕が好きでずっとプログラムを勉強していたから出来たことであって、
そういうのは専門の人に発注するもんだと思うのよ~。」
と、ぼやいております。

サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ~♪
とはならない、連れねずみ君。
まずは、今日で大切にしてきた課とはお別れです。
「どう挨拶していいかわからないよ・・」と
肩を落として出かけて行きました。