スタニスラフ・ブーニン リサイタル①

あれは確か18歳の時だったと思うのですが。
ラジオから流れて来たピアノ演奏。
技巧的にも、演奏としても、衝撃でした。
しばらく動けなかったことを覚えています。
これは何?誰?
新聞のラジオ欄を調べて、
それがスタニスラフ・ブーニンであることを知りました。

スタニスラフ・ブーニンというピアニスト。
ご存知の方も多いと思うのですが、
ソビエト(今のロシア)のピアニストです。
17歳でロンティボーコンクールで優勝し、
19歳でショパンコンクールで優勝しました。
私がその昔ラジオで聞いたのは多分、ロンティボーでの演奏だと思います。
(後に西ドイツに亡命します)

ショパンコンクールで優勝した後、テレビ放送もあったようですが、
その頃ねずみは、テレビがない一人暮らしでしたので、
ラジオで放送されると聞いてはカセットで録音し、
それを繰り返し聞いていました。
その後、CDを手に入れて、何回聞いたことでしょう。
ブーニンの演奏はとてもダイナミックで、豊かで、繊細で、
美しい自然の景色の中に身を置いたような、
朝焼け、静かな湖、嵐、夕焼け、雨だれ、風、
そんなものを感じられるような演奏でした。
心が痛くなることもしばしばで、
その演奏を聞きながらは、何も出来ない感じです。

いつかはブーニンの演奏を生で聴いてみたい。
そう思いながら月日は過ぎて行きました。
しかし、そのうち、ブーニンは病を患い、
表舞台からは完全に姿を消してしまったのです。

つづく